鉄骨渡り編での佐原とカイジ


(関連:iPhoneで読める「カイジ」「ムダヅモ」の電子書籍アプリ)
佐原アイコン完成図。ラスト32には、福本先生が最近になって描いた佐原のレアなイラスト直筆サイン入り。佐原…佐原よおお…!
アップデートで画面タッチ2回で拡大できるようになり、操作方法が快適になりました。今はまだ1だけですが今後順次UPしていくようです。
次のアイコンは利根川先生みたいですね。終わらない搾取地獄。最終話がアイコンぴったりで終わらなかったらどうするんだろう…。



人間競馬「ブレイブメンロード」

佐原といえば、一週間前の今月の14日は佐原の命日でした。
カイジエスポワールに乗ったのが1996年の3月4日。スターサイドホテルに呼ばれたのが7月13日。最後の鉄骨を渡り始めたのが同日の23時30分頃。
そしてカイジがこの鉄骨を渡り切って利根川にチケットを見せたのが翌日の1時15分*1なので、その直前に落ちた佐原の命日は7月14日と予想されます。早々に落下した面子は微妙ですが石田さんもおそらく同じ日。石田さん…(´;ω;`)ウッ


1〜8巻まで布教用として2冊ずつ持っているくらいこの鉄骨渡り編がすきです。
何十回も読み返してはうしうし言ってますが中でも一番すきなのがこのシーン。



傍にいても互いに支え合ったり助け合ったりできない。でもそれはこの橋に限らず、人の心はいつだって孤立していて理解されない、誰にも伝わらない。できることは不確かで一方通行な通信だけ。通信は通じたと信じることで伝達は伝われば達すること、理解を望んではいけない……!


と、それまで何ページにも渡って散々「KORITSUせよ!KORITSUせよ!!」と現代人の心の闇と57億の孤独をぶちあげておいて、




オレは…佐原を救えない……佐原もオレを救えない……
絶望的に離れ離れだ……!
なのに……なんだ……?この温もりは……!
胸から湧いてくる……この温かさ……感謝の気持ちは……
佐原が……佐原がただ……そこに在るだけで……救われる……!
奴が目の前にいないその寒々しさを考えたら……
今……見える存在はまさに救い……!希望そのもの……!


温度…存在…!生きてる者の息遣い…その…儚い点滅は伝わる……!


違う鉄骨を渡るカイジと佐原がボロボロ涙を流しながら、それこそお互いの温度、存在、息遣いを必死に確認するように呼び合い求め合う最大級の胸熱シーンでデレ落とすという福本先生のモテテク。もうゴールしていいよね結婚しよう。
死の淵に立たされ、同じ苦しみ、同じ道程を行く二人だけしかわかちあえない極限の閉鎖空間。盗難の嫌疑をかけられ電話番号に騙され敵宣言を受け流され、同じコンビニでバイトしてた頃は無愛想なカイジ相手に佐原がちょっかい出してはウザがられていたことが想像に難くないですが、このとき鉄骨上の二人は吊り橋効果で確実に恋に落ちてますね。カイジさんって…ニオイ…違いますよね…。


カイジ」の中でも佐原はかなり好きなキャラなので、実は奇跡的に生きてるよ説なり運良く木に引っかかってるよ説なりムササビになって宙を舞ったよ説なり死体を見るまで死んでないと言い張りたい気持ちでやまやまなのですが、もし佐原と石田さんがあのまま無事鉄骨を渡り切って生きていたらいずれカイジを裏切ることになっていたのかもしれないと考えると胸が痛みます。
石田さんの示した矜持がカイジの数少ない心の支えなのにその石田さんにまで裏切られてたらさすがのマザーテレサも人間不信になってしまうんじゃ…。
佐原や死んで行った仲間の無念を晴らすことが会長に闘志を燃やす強い原動力にもなっているとおもうので、早いとこそのへんの小物を片付けての最終決戦が早く見たい*2のですが一体いつになるか見当がつきません。福本先生と読者の温度差がこれ以上広がらないうちにどうにかなればいいのですが。



賭博黙示録カイジ(7) (ヤングマガジンコミックス)

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作中の時間経過について

ところで冒頭に書いたように、エスポワール乗船が1996年の3月4日。スターサイドホテルに呼ばれ黙示録ラストまでが7月13日〜14日。
『カイジ』の時間経過に関する考察を参照すると、破戒録の沼勝負が1997年7月22日となります。なので今日は沼記念日ですね!コングラッチュレーション…!


そして2004年8月2日ヤンマガ掲載、1巻収録の賭博堕天録第7話からスタートした17歩編は、1998年2月下旬という時間軸設定になっています。
最終13巻は勝負のあと夜の街へと消えて行く和也とカイジを乗せた車で終了、そこからしばらく連載一時休止していました。
考察の著者は「この調子で行くと次の話は7月の出来事になる可能性が高い」とまとめていたのですが、満を持して開始された新シリーズ和也編の時間設定は大方の予想をはずして堕天録ラストの直後からスタート。


そのため、この2月下旬某日の長い夜は2010年の現在もよくわからない中国人がバニバニしながら続行中で、来月8月2日にはめでたく6周年になります。
こうやって計算してみるとちょっとすごい長さです。98年時点での和也の服装や口調はいろいろイレギュラーすぎるとおもいます。カイジは早く3日前に借りたおっちゃんの300万返しに行って坂崎家の嫁になれ。


沼の一夜も長い長いと言われていましたがあの連載期間は大体1年半くらいなので、福本暦的には1ヶ月くらいの短期です。いずれにせよ鷲巣麻雀12年超の歴史と貫禄には到底敵わないよね、というお約束の落としどころでオチ。
 
 

*1:利根川が証言。この一見自然で何気ない「腕時計を見る仕草」まで後の伏線になっているのだから黙示録は本当に神懸かってた。

*2:でも「カイジ」の連載が終わることは考えたくない。生きる希望を失う。