本博2日目、180分スーパートークライブ
2日目 180分スーパートークライブ
忘れ去られた頃に本博1日目、本と作家のトークライブの続きです。
2日目の舞台は福島東口駅前AXCのレンタルスタジオ。天気は台風を引きずっての小雨。10時開場のため10時前に並びに行くと既に2日目組の見知った顔もちらほら。多くは日帰り福島というからおそろしい…。
それでも予想していたほどの行列ではなかったので、開場後再び最前列に座れました。福島学院大駅前キャンパスも入場可能のチケット代は1日目は1000円、2日目は2000円です。開演直前には半分弱の座席が埋まっていたので集まったのは大体150人ほどでしょうか。3時間ものトークライブということで見る側としても気合が入ります。
ほどなくして開演時間。
カイジ映画主題歌であるYUIの「It's all too much」が流れる中、漫画家イケメンランキング2010冬1位の福本伸行先生が颯爽登場。盛大な拍手で迎えられ、簡単な挨拶のあとに司会の女性と軽くやりとり。
司会「福本先生は、身長が186cmあるということで…」
福本「えっ!?そんなにないですよ?176cmです」
司会「幼少時はパーマンを読んで育ったそうですね?」
福本「えっ!?いや別に読んでなかったなあ…」
司会「あと中学生の時、周りの女子に便乗して『ベルサイユのばら』を買った事があるとか…」
福本「えっ!?なにそれ!?どこから出てきたの?^^;」
司会「あの…えっと…Wikipediaに書いてあったんですが…」
福本伸行 - Wikipedia
>福本 伸行(ふくもと のぶゆき、1958年12月10日 - )は、日本の漫画家・漫画原作者。神奈川県横須賀市出身。右利き。既婚。身長186cm。
>幼少時は『パーマン』等の漫画を読んで育ち、中学生の時に、周りの女子に便乗して、池田理代子のベルサイユのばらを買った事がある。
ソース元の本人から 完 全 否 定
ウィキは要出典真偽不明のガセ情報が平然と掲載されていたりするので下手に鵜呑みにすると恥ずかしい目にあうという典型がここに。それどこ情報ー?それどこ情報よー?今見てもまだそのままだったので誰か訂正してこれ以上被害者を増やさないであげてくださいぶわわ。ベルばらのくだりは本当どこからきたんだ。
噛みあわないぶっつけトークにヒヤヒヤさせられながら、佐藤秀峰さん、本谷有希子さん、徳永富彦さんと、昨日のトークショーでも拝見した残りの3名が続々と登場。トークショー前に全員で受けた人間ドッグで情けない姿を見せ合ってから絆が深まったそうです。
ここで福本先生がぬるりと客席に一番近い席に座ったため、わたしの位置は1mほどの超至近距離で横顔を見つめることのできるというかつてない絶好のポジションでした。いいんですかこんな…いいんですか…!整ったダンディな顔立ちとかやたら鼻をグシグシこするところとか首から顎にかけてのなだらかなカーブとか後頭部から白髪が一本ツンと立ってるところとかデニムと靴下の間の肌色の絶対領域(二日目)とかパンツの色とか全部見えてますけどいいんですか…!
今回はさらに、特別ゲストとして3日前に急遽参加が決まった、作家の沢木耕太郎さんが参戦することに。
- 作者: 沢木耕太郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
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自身の体験に基づいた旅行小説 「深夜特急」が代表作であり、この作品は後にテレビドラマ化もされているとのこと。
この方がまた喋る喋る。「複数でのトークショーが嫌いだから今まで一人でしかやったことないんだよね、だからうまくできないかもしれない」と前置きはありましたがバカラの必勝法を延々と話し始めたときはどうしようかとおもいました。が、話上手で普通におもしろかったので結果オーライ…!他の方にも話題を振ったり膨らませたりと、ムードメーカーを務めておりました。
前半戦 まずはカードで質問
前半は、スクリーンに映っているカードを一枚選び、裏に書いてある簡単な質問に一人一人回答していくコーナー。ただでさえうろ覚えなので言葉のニュアンス等が異なる可能性があります。福本先生の答えを中心に他の方は割愛。
Q.苦手な食べ物はなんですか?
福本「明太子とかたらことか、魚卵系が苦手」
福本「最近すき家の牛丼と、すっごく高級店の牛丼を食べ比べてみたけど、大して味が変わらないってことを発見したんだよね!^^」
このときの高級店の食事で○○万円使ったのが一度に使った食事の額の最高額だったそうですガクガク。それでもなんこつ揚げライスの庶民精神を忘れない福本先生。明太パスタおいしいです。
Q.今までで一番辛かった思い出はなんですか?
福本「僕は元々下痢気味なんだけど、こないだ行きつけのホルモン屋の店長たちと大阪に行く途中におなかが痛くなって新幹線乗ってる間ひたすら黙って耐えてました。本当に辛かった…」
「わ」日記参照するに10月4日の大阪旅行に事件が起こったと推察。苦手とか辛いとかネガティブな質問が続いたのでできれば逆のことを訊いてほしかったナー
Q.子供の頃に覚えている一番古い風景はなんですか?
佐藤「子供の頃…近所に今でいうソープハウスがあって…店の前に裸のお姉ちゃんの等身大人形があったんですよね…。で…なんだかそれを見てるとよくわからないけどもやもやしてきて……家に帰って……」佐藤「それで……紙に何枚も何枚も……おっぱいを描いてました…」
この日も口数は少ないながら絶妙な発言で静かに飛ばす秀峰マジ秀峰。
決しておっぱいに気をとられて思い出せないわけではないですが福本先生は鬼ごっことか七五三とか話していた気がします。
Q.仕事中に音楽は聴きますか?
福本「仕事中は聴かないけど、ネームを考えるときはファミレスとか行って、ウォークマンでいろいろ聴きます。今よく聴くのは神聖かまってちゃんの『ロックンロールは鳴りやまないっ』っていう曲」
意外ッ!まさかの神聖かまってちゃん。
言われてみればブルーハーツハイロウズ系統なので、福本先生だけでなくカイジも好んで聴きそうです。
Q.無人島に一冊持っていくなら何の本を持っていきますか?
福本「食べられる草とか、そういうサイエンスの本かなあ」
生き残るためにサバイバルやる気まんまんさすが福本先生。佐藤先生はというと「Kindle持っていっちゃダメですかね…」と身も蓋もないことを言っておりましたがわたしもiPhoneと電源持っていきたいです。
後半戦 善か悪かのトークバトル
休憩を挟んで後半。ここでゲストに「善」「悪」と書かれたプラカードが1枚ずつ配られます。「○○は悪か?」といったお題に対し、それぞれ善か悪かどちらかのプラカードを挙げ、その理由を発表し討論を行ういわゆるしゃべり場コーナー。これは前日に「どうしたらトークショーが盛り上がるか」を全員で必死に話し合って決めたんだそうです。そんな涙ぐましい努力が…。
- 作者: 堀江貴文,佐藤秀峰
- 出版社/メーカー: 徳間書店
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最初のお題「ホリエモンは善か?悪か?」
いきなり特定の個人に対して善か悪かを決め付けるのはさすがに気がひけるのもあったのか、結果は3:2で「善」がやや有利。
法要麻雀等や著作の表紙絵を担当し交友のある福本先生は、案の定「善」を挙げていました。豪華な誕生日パーティーにもお呼ばれされたことがあるそうです。一方「ぼくも本の表紙描いたのに…誕生日呼ばれてないんですよね…」という完全なる私怨で「悪」を出す佐藤先生。会場爆笑。
福本出題「総理をバッシングするマスコミは善か?悪か?」
ここからはゲストが一人ずつ問題提起。福本先生からは政治系のお題。1:4で「悪」の意見が多い中、ただ一人「善」を挙げた沢木さんもズバズバと意見を述べてくれてどちらも説得力がありました。トークバトル形式だと相反する主張が聞けておもしろいなあ。
佐藤出題「本の電子書籍化が進むことは善か?悪か?」
今後は電子書籍をメインに活動をすると宣言した佐藤先生ならではのお題。4:1で「善」と好意的な意見が多かったです。しかし「悪」と挙げながらも「善…だとは思うけど、紙の本の手触りとか装丁が好きだから、さみしいというかちょっと悔しいだけなんです…」と言う本谷さんの意見にはとても頷ける。
「カイジ」をはじめ電子書籍がAppストアで多数販売中の福本先生も「こんな感じになりますよ〜って一回見せてもらっただけなんで…」とあまりよくわかってなさそうな感じでしたが歓迎の姿勢でした。でも本当「iPhoneで読んで初めて福本漫画はまった」という人も着実に増えてるとおもいます。
*ここでちょっと小ネタ。
司会「それでは、次は本谷さんから出題お願いします」
本谷「う〜〜ん…考えてきてたんですけど…時間おしてるんでもう少しサクッと終わるお題の方がいいですよね…」
富永「たとえば?」
本谷「じゃあ…『藤原竜也は悪か?』とかどうですか?」
福本「ええ!?そんなのぼくは『悪』って言えるわけないじゃない!(笑)」
沢木「ああ、そういえばぼく映画観たよ!『カイジ』の!福本出演してたからびっくりしちゃったよ!」
福本「あ、はいちょっとだけ…」
沢木「いろんな俳優出てたけどさ、福本が一番かっこよかったよ!かっこよかったよねえ!?(客席に)」\かっこよかったー/
福本「……えっ!?そう!?///」
沢木「映画は全然おもしろくなかったけどね!ハハ!」
さすがよくわかってるな沢木先生。
唐突に褒められて顔をまっかにしてる福本先生がかわいかった!と声を大にして言いたいだけです。沢木(よく喋る)×福本(相槌係)のやりとりは、毎回噛み合っていないようで噛み合っていて和みました。閑話休題。
本谷出題「救いようのない凄惨なラストの物語を書くことは善か?悪か?」
仕切りなおして、今書こうとしている話があまりにも酷すぎるバッドエンドのため、執筆を迷っていると言う本谷さんからの本題。要するにNiceboatな終わり方なんでしょうか。これには「悪」が多かったかも。
福本先生も「ぼくはハッピーエンドが好きだからそういうのは描きたくない」ということで「悪」をあげていました。「黒沢」も「銀と金」も「零」もまだ終わってないし誰も死んでないのでだいじょうぶです!だいじょうぶです!
富永出題「原作ありきの映画しか作られない現状は善か?悪か?」
脚本家の富永さんから。確かに今は原作力に頼った映画が多く制作される傾向にあります。人気のある原作が映画化されれば固定ファンが見込めるので、完全オリジナルの映画よりも失敗やリスクが少ないですしね…。このお題は会場にも善か悪かの挙手を求められました。
福本先生は映画化における原作改変に関して、カイジがエロハンドだとか極端なキャラ改変がなければどんどん変えてくれて構わないスタンスだそう。あと映画カイジの推薦文は監督やスタッフがすぐそばにいる中で書いたそうです。*1
佐藤「原作変えようと何しようといいです…ぼくにお金が入ればそれで…」
佐藤「海猿LASTが売れたからまた続編作る気みたいですね…海猿LASTLASTみたいな感じで…」
秀峰たん通常運転。
終盤戦 観客からのフリー質問
時間がおしていたためこの辺で討論を切り上げ、観客からの質問コーナーへ。
Q.自分の作品は読み返しますか?
福本「ぼくは読み返さないです。でもこの間『黒沢』読んだらスゲーおもしろいなー!って思った(笑)」
読み返さない派の方が圧倒的に多かったです。福本先生はほんとうに「黒沢」大好きだな!再開してくれないかな!
まだあったのにどうでもいいことしか思い出せない…記憶力の限界が…。わたしは当たらなかったんですが、本博らしくおすすめの本とか一緒に仕事してみたい人物とか全員が答えられそうな当たり障りのない質問をうっすら考えてました。
最後に一人ずつ挨拶をして、拍手で閉演。長時間おつかれさまでした。
という感じで、福本先生を間近で鑑賞できたうえに一流のクリエイターの方々の非常に興味深い話をきけて充実の180分でした。
女子美での講演のように福本先生の作品やキャラに関する裏話とかそういうものではなかったんですが、2日間で福本先生の考え方とか物作りに対する姿勢とかより深い根底の部分が少し見えたような気がします。このレポでは全然伝えられてないとおもいますがすごくおもしろかったんですよ…うおお…福島まできてよかった…。素敵な企画をありがとう福島。
もう福本先生は講演会の全国ツアーをすればいいんじゃないかとおもいました。秀峰と。福本先生いわく秀峰とセットでトークショー出るの飽きてきたそうですがそこをなんとか。利根川先生の有難い生説教であれば全ペリカ投げ打ってでも拝聴しますのでぶち殺すぞゴミめらの会。
関連リンク
◆本博2010福島レポ一日目
◆本博にいってきたよ
◆佐藤秀峰@satoshuho氏、カイジシリーズ作者らとともに、本の博覧会のトークショーに出演する
本博のまともなレポを書いているのが身内しかいない…。
*1:お察しください。